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●「中央線と暮らす〇〇な人(企業)」
「中央線と暮らす〇〇な人」では中央線沿線で活躍する企業や人に注目して、その活動や魅力を伝えていきます。
第3回は八王子で開催されている日本一小規模なパンの祭典「八王子一坪パンまつり」を企画する「Shiho Product」さんです。

問題!
JR中央線の東京駅から高尾駅までの駅の数はいくつかわかりますか?
もちろんだよぉ!
どこの駅か分かりやすくするための「駅ナンバリング」というのがあってですね、中央線の駅は「JC+数字」になっているんです。
東京駅が「JC01」で高尾駅が「JC24」。つまり24駅だよ!(ドヤ顔)
※「JC」の駅ナンバリングには中央本線や青梅線も含まれるため24番目以降の駅ナンバリングもあります。
中央線は駅ごとの個性が違って、まち歩きをしていても本当に楽しいよね。
まち歩きをしていてもコーヒーやパン、カレーなんかの美味しい香りがして、ワクワクしますねぇ。
これまでも中央線のコーヒーやパンのお店にはたくさん伺ったけど、まだまだ知らないお店がたくさんあるよね。
ここでもう1問!
「JC22」の駅は何駅?
「八王子駅」!(ドヤ顔)
さ、さすがです…。
そういえば八王子駅で「日本で一番小規模」なパンまつりが開催されていたのは知ってる?
「八王子一坪パンまつり」だよねっ!
前にお話しを聞かせていただいた八王子の「ボンシュシュ」さん、西荻窪の「キャラバン」さんも出店されていたんだよね~。


「八王子一坪パンまつり」は2024年5月の開催で12回目、次は10月10日から開催するみたいだよ!
イベントのHP楽しそう!
パンのかぶりものをした看板娘さんたちが気になるぅ~!
しかも、イギリスのロックバンドのTシャツを着ている…。
高円寺のパン屋「エクラン」さんもロックバンドのTシャツを着てたよね。

「Tシャツ」と「パン」…、これは何か関係があるのかもしれません。
それはないと思うけど…(笑)。
「八王子一坪パンまつり」や、会場となっている「はちチャレ」という場所も気になるし、少しお話しを聞けるといいね。
1.一坪で始まった名物イベント「八王子一坪パンまつり」の秘密
【レンタルスペースspace &】


わっ!
不思議な建物、ダンジョンみたい!
この建物にあるレンタルスペース「space &」で「八王子一坪パンまつり」の運営をされている「Shiho Product」の賀澤さんがお話しを聞かせてくれることになったよ!

「space &」さん、ミレイの絵画「オフィーリア」のようなちょっと不思議で楽しい絵が!
建物も含めて楽しそう場所~!
こんにちは!
こちらの建物は、建築士さんが海外で見た建物をそのまま小さくしたようなイメージで造ったそうですよ。

※「Shiho Product」代表の賀澤さんがお話ししてくださいました。
こんにちは~。
「八王子駅一坪パンまつり」、すごい人気だと伺いました!
「まつり」でありながら「1坪」という小さいスペースが気になってしまうのですが、「1坪」にした理由はあったのでしょうか?
「八王子一坪パンまつり」は「まちづくり八王子」が運営している「はちチャレ」という場所で開催しています。
「まちづくり八王子」には、私も外部スタッフとして関わっており、「チャレンジショップ「はちチャレ」を多くの人に知ってもらおう」というミッションから生まれたイベントが「八王子一坪パンまつり」なんです。
2017年の5月に第1回の開催をしました。
「チャレンジショップを知ってもらおう」ミッション…。
飲食店でも話題になるのは難しいはずですから、なかなか難しいミッションですよね。
そうなんです!
急きょ企画を考えなくてはいけなくなり、どうしようかなぁと考えていた時に、テレビで「日本最大級!パンまつり」が紹介されていました。
それを見ながらちょっとひねくれた考えで、それならこっちは「日本最小のパンまつり」だ!と浮かんできたんです。

現在の「八王子一坪パンまつり」の様子
逆転の発想!
それでも賀澤さんご自身がパン屋さんでもないですし、大変だったんではないでしょうか?
普通の「パンまつり」ではたくさんのパン屋さんが集まっていますが、「八王子一坪パンまつり」では基本1店舗が日替わりで出店します。
私もパン屋さんではないですし、当時はまだパン屋さんの知り合いがほとんどいなかったので、紹介してもらったお店に声をかけていったのですが…、
「1店舗だけのパンまつり?え?」
と、最初はやはり驚かれましたね~。
今は色々なお店が期間で入れ替わる場所が駅ナカにもあったりしますね!
そういった意味では新しい試みだったのではないでしょうか?
1店舗だけの出店は、結果的にお店の方とお客さんとの交流も生まれやすくて良かったなと思います!

確かにお店の人とパンのお話も楽しそう!
はじめての「八王子一坪パンまつり」、結果はどうなったんですか?
実はですね、初日が結構な豪雨で…、当日販売するパンの到着も遅れていたんです。
ひいぃ!
自分たちも雨なのでそこまではお客さんいらっしゃらないかなぁ~、と思っていたのですが…、スタート前から少しずつ人が並び始め、いざスタートすると当日用意した150個のパンが2時間ほどで売り切れました!

※列ができるほど人気の「八王子一坪パンまつり」!(最近の様子)
雨の中、150個のパンが2時間でっ!
すごいですね~!
市内の告知や情報発信も色々と協力をお願いしていたこともあり、楽しみに来てくださる方が多かったようです。
雨だった初日以降も、出店するお店の方と情報共有して数は十分に用意しましたが、それでも毎日完売することができました。


※2024年5月の「八王子一坪パンまつり」。写真は八王子(高尾駅)のパン屋「「Deep Forest 高尾店」」さん。
毎日、異なるパン屋さんが出ているのも楽しみの一つですね!
「八王子一坪パンまつり」では「パンの姿」の賀澤さんを見かけます。
こちらの可愛いパンのかぶりものも気になっていました(笑)!
「パンのかぶりもの」、実は初回からかぶっていたわけではないんです。
2020年~2022年の間はコロナ禍の自粛期間もあって2年ほど開催ができていなくて、やっと開催できるとなった時に「みんなを元気にしたい、笑顔にしたい」と思い、パンをかぶるようになりました。
かぶりものって誰も傷つけなくて平和じゃないですか(笑)。


パンをかぶってみんな笑顔に!
確かに写真を見るとなんかほっこりして、イベントにも行ってみたくなりますね。
それと…、今日もですが賀澤さんのバンドTシャツが素敵ですね!
ありがとうございます(笑)!
音楽が好きで、今日は一番好きなミュージシャンのTシャツを着てきました!
「まちづくり八王子」で一緒に活動している仲間とも音楽の話をしたりライブに行ったりしているんですよ。
音楽ってやっぱりパワーがあるんですね!
賀澤さんが企画するイベントのアイデアも、そういったところから生まれてそうです!
「八王子一坪パンまつり」、10月には13回目の開催とのことですが、年に2回開催されているんでしょうか?
そうです。
実は第1回目の開催の時には続ける企画と考えず、無事に開催できたことで満足していたのですが…、周りの皆さんから次はいつなのと喜びの声をいただき、春と秋、年に2回開催しています。


「八王子一坪パンまつり」過去の開催の様子
たくさんの人が訪れたということで、「チャレンジショップを知ってもらおう」ミッションは達成できたのでしょうか?
実際に「八王子一坪パンまつり」の賑わいを見て、やってみようかなと思っていただく方も増えたかと思いますので、達成できたかと思います。
「はちチャレ」は2022年に駅近くに移転しており、展示用の什器の貸し出しもあり、使用料も1日2,000円(税別)なので、興味がある方にはぜひ利用していただきたいです!
「はちチャレ」のスペース。駅近で外から見えるけど屋根のある好立地でした。

住所: | 八王子市旭町7-1 豊栄ビル1F EV前 |
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利用可能時間: | 7:00~20:00 |
FB: | 8chare |
2024年7月以降移転リニューアルオープンを予定しています。 |
2.八王子でつながって広がるチカラ
賀澤さんは昔から「まちおこし」のようなお仕事をされていたのでしょうか?
私が「地域」と関わった初めてのきっかけは東日本大震災でした。
生まれが福島県ですが、被災地ではどうしてもインフラの整備などが優先されていく中で、心のケアや地元住民の皆さんが元気になるようなサポートができないかなと考えるようになったんです。
「きっかけ」ということは別のお仕事をされていたのですか?
その頃は東京で「美術商」をしていたんです。
地元で最初にかかわったプロジェクトでは、古民家を使って子ども向けのワークショップなどを開催し、「美術商」だった経験も活かし、八王子市在住の作家さんなどにも声をかけました。
ただプロジェクトの際には「美術商」のお仕事は辞め、知り合いのアパレルのお仕事を手伝いながら、月に10日くらいは地元に帰省して活動をしていましたね。
「美術商」さん!
かっこいい…!
それで入口やこちらのスペースにもアート作品が並んでいるんですね!
仕事を辞めてのボランティア活動…、とっても大変だったかと思いますが、それで救われた人もいらっしゃいますよね。
素敵な行動力ですね!
八王子が拠点になったのはいつ頃なのでしょうか?
SNSや集まりなどで人とお会いすると私を「ボランティアや地域の活動をしている人」と知っていただけることが多くなりました。2016年頃に完全に八王子に拠点を移し、2017年に独立をしました。
2017年ということは、独立されてすぐに「八王子一坪パンまつり」を企画されたのですね!
八王子に拠点を移すことになった時、八王子の印象はいかがでしたか?
学生時代に来ていた八王子と、大人になって目線を変えて見ると、地域のパワーをすごく感じました。
八王子は個人店舗も多く、いつもイベントを開催して賑わっていていますね。
拠点を移してからも地域の皆さんが優しく接してくれました。
どんどん縁や交流が広がって、活動やお仕事も広がっていったんですね!
そうですね。気にかけて声をかけてくれたり、人に紹介してもらったり。地域の皆さんに助けてもらった印象があります!
拠点を移して1年後にここの事務所兼レンタルスペースを開きました。

レンタルスペース「space&」
こちらのレンタルスペース、利用しやすい料金ですよね!
会議室のような固い感じもなくて、雰囲気も素敵です!


このレンタルスペースは敷居を低くして、たくさんの人に利用してもらいたいと思っています。
「space&」という名前、そしてコンセプトは「あなたと誰かが集い、つながる場所」という意味があります。
人と人、人と何かがつながって新しいものが生まれるような場所になればと嬉しいです!
広さもあって色々な利用ができそうですよね!
こちらはギャラリーとして使っていただいたり、セミナー、ワークショップ、体操教室まで幅広く使っていただいています。
ワークショップの先生から、「space&」ならではのアイデアが生徒さんたちから出てくると言っていただいたりもしました。
ワクワクする場所だからアイデアもたくさん出てきそうですね!
確かに、展示されている作品や本・漫画、音楽関連のものなど、創作意欲が高まりそうなラインナップです!
3.小さくてもできる!八王子のためにできること
「八王子一坪パンまつり」やレンタルスペース「space&」、賀澤さんが関わったことで生まれた笑顔がたくさんありそうですね!
その他にも企画や携わっていることはありますか?
八王子の南口に2026年10月に「八王子駅南口集いの拠点」という場所が誕生します。
こちらはすでに運営事業者さんも決まって開発が進んでいるのですが、完成に向けて行政と運営事業者さんが主催する市民参加型のワークショップが開催されました。
そちらに私も参加したのですが、当日は長年八王子に住んでいる方や、市内の事業者さま、八王子に興味がある方など、色々な方が集まって、色々な意見やアイデアが出てすごく良いワークショップだったんです!
八王子の皆さんクリエイティブなイメージもあります!
こういったワークショップを市民主体で開催できないかと考え、「space&」の近くにあるコワーキングスペース「8Beat(エイトビート)」さんに企画を持ち掛け「集いの拠点」を語る場を設けました。
特徴としては、意見が出るだけではなくきちんと意見をまとめて行政に提出するところまでを目標にして活動しました。
また、市民の皆さんが積極的に関わっていく意味で、~みんなで作る「集いの拠点」~というワークショップの名前にしたんです。

8Beatで開催された~みんなで作る「集いの拠点」~での集合写真
地域に対して思うことがあっても、それを形にする、声に出すってことは少ないのでそういった場があるだけでも嬉しいですね~。
八王子のためになる事業や活動をたくさんされていますが、賀澤さんの考え、こだわりのようなものはありますか?
「小さくてもできる!」というのが自分の1つの合言葉で、自分がやっていく事業はすべてこの合言葉が大切でぴったりだな~と思っています。
今後「八王子一坪パンまつり」を広げていく場合、「1坪」を「100坪」の規模にするのではなく、「1坪」のままで、地域や福祉、色々なものとつなげて大きくしたいと考えています。
こちらのレンタルスペースと同じで「八王子一坪パンまつり」&〇〇、色々とつながって広がっていく考えですね!
実際にはどのように広がっていくのでしょうか?
2021年からはフードバンクにパンの寄付を行うようにしました。
そして2023年6月からはパンの売上の一部を「八王子市社会福祉協議会」に寄付しています。これによって皆さんがパンを買うだけで障がいを持つ方の支援につながっているんです。

素敵!
八王子のパン屋さん「ボンシュシュ」さんも支援型の店舗でした!
2023年の10月には若者の就労支援を行う「八王子若者サポートステーション(八王子サポステ)」さんと連携をして、仕事への第一歩のお手伝いを応援するようになりました。
「八王子一坪パンまつり」は「1坪」と小さいエリアのイベントですが「パンと〇〇」、つながりを増やしてイベントの意味を大きくできればと考えています。
「1坪」からこんなにたくさん広がるんですね~。
「パン」からどんどん幸せや笑顔が生まれそうです!
社会・地域の課題は多岐に渡り、当然ながら一朝一夕で解決するものではありません…。
今後もつながりを増やし、こうした支援をこれからもずっとやっていこうと考えています。
その他にも子供向けの企画など「八王子一坪パンまつり」とまちの名前が入っているイベントとして「まちに恩返し」ができればと思っています。
「イベント」である以上、利益や集客はもちろん考えなくてはならないと思いますが、これだけ地域のことも考えてくださるイベントだったとは…。
最後に今後はどのようなことをやっていこうと考えていますか?
そうですね、実はドーナツ屋さんがやりたいです。
まさかのドーナツッ!
パンもそうですがドーナツってなんか人を幸せにするじゃないですか。
確かに~!
母が素朴なドーナツをよく作ってくれた思い出もあって。
今は「一坪パンまつり」だけですが、常設の店舗を持つことでこれまで以上に福祉活動や支援ができると思っています。
障がいを持つ方や生きづらさを抱えている方、様々な方が楽しく働いて活躍できる、そんな「ドーナツ屋」を作ることが直近の夢、目標になっていますね。
これまた素敵な夢です!賀澤さんの「ドーナツ屋」さん、楽しいお店になりそうですね~。
ちなみに「ドーナツ」作りは得意なんですか?
いえ…、実は作れません!
「小さくてもできる!」という合言葉のとおり、地域の皆さんや専門の方と一緒に形にしようと思っています。
今、お仕事を手伝ってくれているメンバーの方は就労支援に関わりがあったり、ドーナツ作りならあの人に、テーマソングはあのバンドに。さらにお店の内装は近所のみなさんと一緒にやってみたい!など皆さんに関わってもらいたいなと考えています。
実現されるのが楽しみですね~!
「八王子一坪パンまつり」ってどんなイベントなんだろう?から今回お話しを聞かせていただきましたが、とっても深い、そして八王子のため、色々な人のためのイベントだったんだと感じました!
ドーナツ屋さんもできたらすぐに遊びにきます!
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

住所 | 八王子市中町3−2 0426 Spring Garden, 2階L区画 |
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利用可能時間 | 10時~22時 |
※ギャラリー利用の場合は10時~20時 |
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HP: | https://space-and.com/ |
★6月のプレゼント
今回ご紹介した「八王子一坪パンまつり」に出店していたパン屋さんで使用できる商品割引券(1000円分、合計25名様)を中央線と暮らすアプリの1日1回運試しくじの景品としてプレゼントを予定しています。ぜひご応募ください。
※使用できるお店は「ボンシュシュ(八王子)、ディープフォレスト高尾店(高尾)、八王子メロンパン(八王子)、Yショップ ippuku(八王子)、ウズベキスタンワインショップ・キャラバン(西荻窪)」のいずれかとなります。

※セット内容は写真と異なります。