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中央線と暮らす〇〇(まるまる)
中央線と暮らす「地域の洋菓子」な企業

2024.05.08
INTRODUCTION
魅力・不思議
東小金井にある「菓子工房ビルドルセ」さん。 地元から愛される「黄金井パフ」は一度なくなりかけていた⁉ 異業種の会社2つが協力して存続させた「黄金井パフ」、そしてそこから広がる「菓子工房ビルドルセ」ならではのお菓子たち。 「安全」×「美味しい」をコンセプトに、地元の味を引き継いだ「金澤建設株式会社」さん、「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」さんのヒミツに迫ります。

●「中央線と暮らす〇〇な人(企業)」

「中央線と暮らす〇〇な人」では中央線沿線で活躍する企業や人に注目して、その活動や魅力を伝えていきます。

第2回は東小金井にある人気洋菓子店「菓子工房ビルドルセ」を運営している「金澤建設株式会社」さん、「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」さんです。

小金井市のお土産として「黄金井パフ」をいただいたんだけど、このふわっと感と、ほどよい甘さがくせになりますねぇ。

おいしいよね~!
実はこのお店を運営している会社は、前回「おしぼり」について教えてくださった「FSX株式会社」さんとも交流があるそうだよ!

お店で「おしぼり」を利用しているのかな?

「菓子工房ビルドルセ」さんは、あるきっかけからスタートした洋菓子のお店なんだって。
「金澤建設株式会社」さんと「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」さん、2つの全く異なるお仕事をしている会社さんが運営をしているそうだよ。
「FSX株式会社」さんとは多摩地域の会社同士ということで以前から交流があったそうだよ。

建設の会社さんがこんなにおいしい「黄金井パフ」を作ってるの⁉
そのきっかけが気になります!

…数日後…

きっかけや会社のお話しについて「金澤建設株式会社」の常務取締役で、「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」代表取締役の金澤大恵さんにお話しを聞けることになったよ。

1.東小金井にある「菓子工房ビルドルセ」~伝承されたレシピ~

「菓子工房ビルドルセ」の企画プロデュース・運営をされている金澤大恵さんがお話ししてくださいました。

こんにちは。こちらの「菓子工房ビルドルセ」さん、異なる業態の企業が運営されているんですよね?

こんにちは。
このお店は「金澤建設株式会社」と「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」という2つの会社が運営を行っています。
「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」は、海外から日本でお仕事を始められる方たちのサポートを中心に、セールスプロモーションやデザインなどの業務を2003年から行っており、「金澤建設株式会社」は1945年創業、来年には創業80年になる小金井市・東京都エリアに密着した建設会社です。

お菓子の製造とは全くことなるお仕事の会社さんだったんですね!
でもセールスプロモーションやデザインのノウハウが「菓子工房ビルドルセ」さんでも活かされていそうですね!

建設のお仕事で創業80年って、すごいですね~!

実はちょうど「菓子工房ビルドルセ」ができた年は、「金澤建設株式会社」が70周年の年だったんですよ。

もしかして70周年の記念のお菓子だったんですか?
どうしてまた「建設」の会社さんたちがお菓子のお店をやることになったのか気になってたんです!

看板メニューの「黄金井パフ」、実は小金井市の小さな洋菓子店が1988年より作り続けていたお菓子だったんですよ。
そちらを私たちが引き継いだ形になります。

「黄金井パフ」 カスタード 324円(税込) / 【季節限定】いちご324円(税込)

昔から地域に愛されたお菓子だったんですね。
「黄金井パフ」想像以上にふわふわで、美味しかったです!

ありがとうございます。
この「黄金井パフ」を作っていた洋菓子店さんは後継者がいなくて、2014年末(2015年の2月をもって)閉店してしまいました。
27年もここ小金井市で愛されていたお菓子でもあり、私たちも「このお菓子をなくしたくない!」と思っていたところ、店主の方が「やってみたら?」と言ってくださったんです。

素敵な流れですけど…、「やってみたら?」で始めるのはとても大変そうですよね?

そうなんです!
大変なことはたくさんありました。
「金澤建設株式会社」の現社長である金澤貴史がそのお話しを検討していたところ、店主さんはすでに「後継者ができました!」とお店で案内をしてくださっていたので…、
「やるしかない!」となったんです(笑)。
そこで「金澤建設株式会社」だけでなく、「ヒューマン・アカデミック・テクノロジー株式会社」がデザインや企画などを担当し運営をして行くことになりました。

失礼ですが…、「金澤建設株式会社」の金澤貴史さんとは…?

はい、配偶者になります(笑)。

別々のお仕事をされていた二人が1つの事業で協力するなんて…、更に素敵なお話しです!
なかなかの異業種ですが、皆さんはお菓子製造は得意だったんでしょうか?

むしろ逆で、お菓子作りが得意なわけでも、好きだったわけでもなかったんです。
さらに、レシピを教えていただく時には、「今日は雨模様だから分量は~」や「このキャップを1杯分~」のように感覚的に作ることも多くて気持ちは大打撃でした(笑)。

今までお菓子作りをしていなかったらなおさら大変ですよね…。

そこでカメラを持っていき動画を撮影し分量は数値化しました。
そこから半年くらい修業し何回も何回も作らせていただき、レシピをようやく決定できたんです。

現在の製造の様子、清潔さと正確さが伝わってきます。

えぇ~!それって元々のお仕事もされながらですよね…。
とっても大変そうです。

レシピの伝承が「アナログ・感覚」だった店主さんから、「デジタル・数値」になるのが時代の変化を感じられて面白いですね。
お店は今の場所だったんですか?

最初は今の店舗の場所と異なり、もともとのお店をお借りして、そのまま引き継ぐ形でスタートしました。
店主さんが使っていたままだったので、一度清掃もしなくてはなりませんし、飲食店として我々が始めるための新たに準備や届出、検査などやることがたくさんありました。

色々手さぐりで進めるのは大変でしたよね。
「菓子工房ビルドルセ」や「黄金井パフ」の名前はその時に新しくされたのですか?

店主さんからレシピは受け継ぎましたが、店主さんからの希望もあり店舗名や商品名は新しくしています。
「建設会社」らしく建てる意味の「build」、スペイン語で「お菓子」の意味から「dulce」、これらの造語で「builddulce(ビルドルセ)」という店名にしました。私はスペインに住んでいたこともありまして。

これ以上にない素敵な名前ですね!

また商品名は地元の小金井の名前を入れました。
小金井の名前の由来には「黄金(こがね)のような泉湧きいずる豊かな地」という説がありますが、そこから「黄金井(こがねい)パフ」という商品名になりました。

「黄金井パフ」にはどのような種類があるんですか?

これまで約20種類くらいの味を作ってきました。
普段は季節限定を含めて約4種類ほどご用意しております。
特に人気があるお味は定番の「カスタードクリーム」、季節限定の「珈琲クリーム」になりますね。

2.異業種からの挑戦は七難八苦⁉

「黄金井パフ」の名前も地元愛を感じられますねぇ!

オープンした初日、なんと約500人もお客さんがいらっしゃったんです!
当時、お客さんからは閉店せず受け継がれたお菓子を喜ばれながらも、建設会社ということで「固い物から柔らかい物なんて大丈夫なの?」と少し心配もされました(笑)。
実際にこれまでの業態としてBtoB(企業対企業)が多かったので、それがBtoC(企業対個人)のお仕事になるため、どのように「接客」をするべきかよく考えることになりました。

にっこり販売するだけじゃだめなんですね⁉

接客する者によって対応内容がバラバラにならないよう、チームとして丁寧な接客をするために、私たちは誰が対応しても同じような接客や業務ができるマニュアルを作りました。
こちらの最大の特徴は1冊しかないことなんです。インデックスがあってカテゴリ分けをしていますが、スタッフが気になったところや変更があったところには赤字が入り、定期的に最新に差し替えるようにしています。

チェーン店なんかはそういったマニュアルやシステムが大切だと聞いたことがあります。
でもそれは飲食専門の企業が作るものだと思いますので…、これまでのお仕事に加えて新しくマニュアル化してお店を維持するのは大変ですよね。

大変でしたが大きなトラブルも一切なく、なんとか9年間続けてこれました。
製造についても同様にレシピボードを作成して、誰が作っても美味しく作られるようにしています。
またここで働く皆さんが効率良く働けるように視覚支援プログラムも作成しました。
業務で問題があった時にも報告しやすいようにしています。

その他にも大変なことはあったのではないでしょうか…?

そうですね、店主さんから受け継いだ仕入れ先が廃業されたりもありました。
あとは商品の梱包の仕方が間違っていたり…。
困ったこともありましたが、他のお店や企業の皆さまにも支えられて乗り越えてきたなと感じています。

2020年頃からは外出制限などもあり影響を受けたのではないですか?

そうなんです!
ようやくお店も形になってきたのですが、2020年からの外出制限など大きく打撃を受けました。
お菓子店舗は飲食店に向けた補助の対象ではなく、会社としては建設であるため小規模店舗向けの補助も使えない時期がありました。
それでも時短営業のわずかな時間で買いに来てくださったり、甘いものが元気になるといっていただき、我々メンバーもそれを励みに頑張りました。

お店を閉める時間が多くなったと思いますが、そういった時にはどうなされたのでしょうか?

営業時間短縮要請により時間ができてしまったこともありますが、そんな時期だからこそ「健康」をテーマに考えるようになりました。
実は私が牛乳が苦手なのですが、お客様の中にはアレルギーの方がいて、ならば100%豆乳で「黄金井パフ」をやってみようとなりました。
また小麦粉についても個人差はありますが腸壁を少しずつ壊す可能性があるとも言われておりましたので小麦粉を米粉に、上白糖はてんさい糖に変更しました。
てんさい糖は低GI※で健康に良いとされています。そしてできたのが「米粉の黄金井パフ」なんです。

※GIとは糖質の吸収のされ方の指数、低いと糖質の吸収がゆるやかになります。

米粉の黄金井パフ 324円(税込)

確かにグルテンフリー(小麦粉不使用)は最近聞くようになりましたね。
「米粉の黄金井パフ」は美味しく完成したんですか?

これがさっぱりしすぎていて…最初は美味しくなかったんです!
豆乳の味が強く出すぎていたり…。そこから調整を重ねて今はオンラインショップでも大人気商品となりました。
そういった開発もあり、「にっぽんの宝物」の圏央道大会(2020年)にて、スイーツ部門 準グランプリを受賞することができたんです。
翌年には「にっぽんの宝物」のJAPANグランプリ(2021年)にて、スイーツ部門 審査員特別賞も受賞しました。

受け継いだ地元のお菓子を進化させてそういった賞をいただけるなんて嬉しいですね!

多摩信用金庫様主催の第14回多摩ブルー・グリーン賞では「建設会社が地元の洋菓子店を引き継ぐモデル」として最優秀賞に選んでいただいたこともあるんです。
対象企業76000社の中でエントリーされた企業の中から1社だけが最優秀賞となることができます!
そこで「FSX株式会社」さんとも交流が始まりました!

3.困難を乗り越え新しいブランディングへ

「黄金井パフ」のお話しが中心でしたけど、「菓子工房ビルドルセ」さんには他にも素敵なお菓子がありますよねっ!

米粉の焼き菓子「黄金井ココ」があります。
実は「黄金井パフ」のレシピの分量の関係で、最初の頃は卵白の多くを捨てていたんです。
途中からフードロスにならないようにと、卵白を使った焼き菓子を開発しました。

フードロスに取り組むなんて…、SDGs!

「菓子工房ビルドルセ」さんの「黄金井ココ」も「黄金井パフ」と同じようにほどよい甘さで美味しいですよね!

焼き菓子を開発する際にも「菓子工房ビルドルセ」らしいものをと考え、「心と身体がヨロコブお菓子」となるようにしました。
砂糖からてんさい糖に変え、その量も一般的な焼き菓子に比べて大きく減らしています。
こちらはこちらで最初はとても固いものができてしまったんです(笑)。それでも試行錯誤していき「黄金井ココ」が完成しました。

焼き菓子の制作過程

身体に優しい素材だけで、美味しく作るのも大変なんですねぇ。

営業時間の制限があった時期だからこそ、このような商品開発を始め、さらに「菓子工房ビルドルセ」のリブランディングをスタートさせました。

リブランディングってなんだかかっこいい感じがします!
実際はどのようなことをするんでしょうか?

私たちは、まず「なぜお客様は当店を利用していただけるのか?」を考えました。
そこから「安全×美味しい」を提供している…、「We build safety and tasty!」というコンセプトを考え、専門店のように商品が分かりやすくなるように3つのブランドに仕分けをしました。

まずは「黄金井パフ」の「Builddulce」、こちらは受け継いだ地元の味です。

↑地元の味を受け継いだ「黄金井パフ」、それを主軸としたブランド「Builddulce」

次に食品添加物を使わない米粉の焼き菓子「BAKEdulce」です。

↑フードロスにもなる卵白を健康的に活用した「黄金井ココ」、焼き菓子のブランド「BAKEdulce」

そしてビールのおつまみに合うお菓子として開発された「BEERdulce」です。

↑「安心×美味しい」を楽しめる、ビールなどに合うお菓子の「BEERdulce」

カラーリングもブラックとゴールドでシックなイメージに変更しました。

行動制限や店舗の営業時間の制限があった時期だからこその「再発見」と「リブランディング」。安全で美味しい「We build safety and tasty!」」のコンセプトも素敵ですね!

店内もイメージカラーに併せて見た目をシンプルに変更したそうです。

「菓子工房ビルドルセ」は小さな船であると考え、一人でも怠けたら進まないので、それぞれが自分の持ち場をしっかりプロとして担いながら、チームとして仲間を助けゴールを目指そうとしています。
それがコンセプトである「We build safety and tasty!」の商品を作っていくことには重要だと考えています。

4.小金井の洋菓子店だからこそ

小金井市の洋菓子店として、地域との関わりや活動なんかはあるのでしょうか?

市内の中学生職場体験なども行っています。
また地域で開催されているアニメのイベントや子ども向けの街歩きイベントなどにも協力したりしています。
小金井市は桜が有名でもあるのですが、今年が名勝小金井(サクラ)が国の名勝に指定されて100周年ということもあり市の特別事業として商品コラボをしています。
「Made in Japan」の商品として米粉は鹿児島県産、てんさい糖は北海道産、たまごは岩手県産、桜の茶葉は愛媛県産を使用しています。

お花じゃなく桜の葉をパウダーにして使用しているんですね~!
しっかりと桜の素敵な香りを感じます!美味しい~!

サクラサク・ギフト 486円(税込)

桜と言えば…、春らしく、そちらにいらっしゃる皆さんはもしかして…?

4月1日に入社した新入社員なんです。
2か月の試用期間で総務部、営業部、施工管理の建築部門、公共工事の土木部門、企画営業部の5部門を巡り体験していく形になります。

洋菓子店にいる新入社員らしからぬ体験コースですね(笑)。
今日はお忙しい中、楽しいお話しをありがとうございました!

菓子工房ビルドルセ
住所 小金井市東町4-38-17-1階
定休日 不定休

※HPとSNSで事前に案内があります。

営業時間 10:00~18:00
HP  https://builddulce.com/  
オンラインショップ  https://builddulce.com/shopping.html  
Instagram  https://www.instagram.com/builddulce_33  

★5月のプレゼント

今回ご紹介した「菓子工房ビルドルセ」さんの「黄金井パフ」&「サクラサクギフト」セットの商品チケット10名様、後半の「中央線の新生活」でご紹介する2つのお店からは商品割引券(2000円分)を各3名様、1つのお店からイタリアンタイルのスツール(25000円相当)を1名様に中央線と暮らすアプリの1日1回運試しくじの景品としてプレゼントを予定しています。ぜひご応募ください。
※後半の賞品については変更がある場合がございます。

※セット内容は写真と異なります。

※「中央線と暮らす」アプリをインストールしていない方はこちら