9.2

中央線と暮らす〇〇(まるまる)
和菓子編(後編)

2024.03.13
INTRODUCTION
魅力・不思議
見ると食べたくなるお団子やお饅頭。どこか落ち着く日本のスイーツ。 どら焼きに、羊羹、最中に金平糖。見た目も芸術的な煉切り。和菓子って身近だけど実はよく知らない世界。中央線の駅周辺にも老舗の和菓子屋さんがたくさん!和菓子だらかこそ地域とのつながりがあるのかも!いったいぜんたい「中央線沿線の和菓子」にはどんな魅力が隠されてるっていうの?

1.創業75年、今も追及し続ける味。和菓子を楽しむお店「吉祥寺虎屋」

もうすぐお花見シーズンですねぇ。
吉祥寺や井の頭恩賜公園も春に向けて賑わってきますね!

やっぱり、花見と言えば…?

そうです、お団子!
「花より団子」の言葉通り、たくさんの和菓子に包まれてみた~い。

花よりお団子がたくさんあるわけじゃないでしょ~(笑)。

し、知ってますよ!
吉祥寺にも和菓子屋さんがありますね。

定番の「桜餅」の人気も高い「吉祥寺虎屋」さんに今日は行ってみない?

「吉祥寺虎屋」さん、ダイヤ街にもあっていつも季節を感じる和菓子が並んでますよね!
「桜餅」食べたくなってきました。さっそく行きましょ~!

「吉祥寺虎屋」 吉祥寺駅

※本日は、吉祥寺駅から徒歩5分ほど、工場と店舗を兼ねた弁天通店にお邪魔しました。

「虎屋吉祥寺」二代目の寺岡さんがお話ししてくださいました。

こんにちは~!
「吉祥寺虎屋」さんの桜餅…、見慣れた桜餅とちょっと違いますが、どういった特徴があるんでしょうか?

桜餅 270円(税込)

こんにちは。
うちの桜餅は袱紗包みといって折り畳むように四角く作っていて、中に求肥が入っているんですよ。それを2枚の桜の葉で挟んでいます。

見た目も春の小包みたいで可愛らしいです~。
桜色のモチモチ生地は優しい柔らかさ、中のこし餡と求肥もその柔らかさと一緒にとろけます!
桜の香りも広がって癖になりそうです。
吉祥寺虎屋さんならではの桜餅ですね!

上品な甘さで…、餡子も美味しいですね!

餡は毎日、こちらのお店の地下で小豆から煮て作っています。※
そこからアイデアが湧いてきて、色々な餡を試したくなるんです。
最近だとハモニカ横丁をイメージした「ハーモナカ」という商品を作ったのですが、こちらはレモンと紅茶を入れた餡になっています。

※煮る作業は重労働だそうです。

「ハーモナカ」は、商工会議所の方からアイデアとお話しがあって開発をスタートしました。
ハーモニカのような最中の形となっていて、金沢のほうで型を作ってもらっています。

餡子の珍しい組み合わせで、お味が気になりますね!
ハーモニカの形も可愛いです!
そういった商品開発はどのようにされているのですか?

開発は古くからの職人と一緒に行っています。
私も新商品なんかを作っているとついつい夢中になり夜中になっていたりするんですよ。

創業75年以上と聞いていましたが…、変わらず開発を楽しんでされているんですね。
素敵すぎますっ!

私どもは吉祥寺で戦後すぐ、昭和24年から和菓子屋を始めました。
ハモニカ横丁から始め、3年後に現在もあるダイヤ街の場所に2つめのお店をオープンしたんです。
もちろん定番商品もありますが、新商品の開発するときは新しい挑戦をしてみたくなりますね。

※会社が昭和24年からで、実際に菓子屋としては昭和21年から始められたそうです。

武蔵野市は昭和22年に誕生した市だから、実際にはそれよりも前から始められていたんですね…!

先代は終戦後は井の頭公園で鯉を釣ったりしていたようなんですが、1年経って「吉祥寺で菓子屋を開く!」と決意したそうです。
もともと戦前から菓子職人として日本を回っていたので腕は良かったそうです。
最初は駅前の露天で「あげ饅頭」を売っていて、その後、ハモニカ横丁へ移転しました。
人気もあり、なかなか借りることも難しい場所だったので、移転できたのは当時の地域の人たちの協力もあったからこそだと思います。

戦後の大変な時代、すぐに行動に移して、75年経った今もこうして和菓子が親しまれていると思うと、感慨深いですね~。

そうですね、戦後はお菓子屋が少なく、先代の技術もあって明治神宮の献上菓子としても使われました。

現在はハモニカ横丁にはお店がないんですよね?

当時のハモニカ横丁は、駅前通り商店街として活気がありました。ただ、スペースとしては狭かったですね。
そのため、平成になってからこちらの弁天通りのほうに工場を移しました。
令和3年に工場だけでなく、飲食を楽しめるスペースとしても改めてオープンしました。

住みたい街や、街歩きとしても人気のある吉祥寺ですが、置いている和菓子など意識していることはありますか?

ダイヤ街にある「吉祥寺虎屋」は小さな店舗ですが、嬉しいことにお客さんからも要望も多くいただきますので、できるだけ種類数は多くするようにしています。

吉祥寺ダイヤ街アルファ店

弁天通り点も気になる商品がいっぱい並んでおりますが、こちらの羊羹も種類がたくさんありますね!

大吉祥羊羹「栗・つぶ・抹茶・こしの4種類」

羊羹は定番でこだわりをもって作っています。大きさが3種類、味は4種類あります。
私の同級生が有名な書道の先生で、この羊羹の「吉祥」を書いてもらいました。いくつか書いてもらって、どれがいいか選ぶことになったのですが、どれも良かったので4つすべて使わせてもらいました。
羊羹も砂糖を控えめで作っているのも特徴です。

確かに一番大きなサイズの「吉祥」の文字は、すべて違いますね~!
サイズとお味のバリエーションが豊富なのも嬉しいです!

抹茶の羊羹ですが、小豆の味をしっかり感じますね!

「ハーモナカ」のお名前も面白いですが、「武蔵野夫人」や「吉祥寺くる~ん」など、気になる商品がたくさんです!

ハーモナカ(6個入) 1,296円

「吉祥寺くる~ん」は吉祥寺に来る?という意味合いもあって作りました。バターやコンデンスミルクも使用した焼き菓子でマーマレードジャムを挟んでいます。それと武蔵野夫人はくるみの入った黄身餡を洋風の皮で包んだお菓子です。
どちらも洋風和菓子でスタートしてから変わらず人気があります。コーヒーや紅茶にも合うのも特徴ですね。

吉祥寺くる~ん(左)/武蔵野夫人(右) 各238円(税込)

「吉祥寺くる~ん」と「武蔵野夫人」!
どちらも洋菓子の良さと和菓子の良さが相乗効果で美味しいです。「吉祥寺くる~ん」はマーマレードのほどよい酸味、「武蔵野夫人」はしっとりした食感の中のクルミのアクセントがたまりません!
お話しを聞きながら商品を見ていると寺岡さんや職人さんの遊び心が伝わってきて楽しく和菓子が食べられますね。

楽しく召し上がるという意味では、「吉祥小槌最中」がおすすめですよ。

「吉祥小槌最中」 ※写真は胡桃入り黒糖餡

こちらは手詰めの最中になっていますので、お客様で最中の皮にお好みの量、餡を入れて召し上がっていただきます。餡は、栗入りこし餡、胡桃入り黒糖餡、丹波大納言粒餡の3種類ご用意しています。餡をすくう木べらも入っています。

わ~!和菓子のパーティーみたいで楽しいですね。
そしてたくさん詰めて安心の餡の量が嬉しい!

楽しいだけじゃなく餡も美味しい!種類も選べるのが嬉しいですね。
「吉祥寺小槌最中」はお土産にしても喜ばれること間違いなしです!

武蔵野市の認定おみやげ品にも選ばれている「吉虎どら焼」もおすすめです。
こちらは能登大納言をふんだんに使用しており、ふわふわではなく、もちっとした生地が特徴です。
それと最近は見た目もキレイな上生菓子が出るようになってきましたね。

吉虎どら焼 270円(税込)

上生菓子 (左:山桜、右:寒梅) 378円(税込)

どら焼きは石川県能登産の小豆なんですね。王道のどら焼きでありながら高級感があります!
餡も商品によって違っていたり、いったいどんな味なんだろうとどれも気になっちゃいますね。

75年の歴史で今も色々な味に挑戦しているからこそ、吉祥寺の新しい定番がどんどん生まれていると感じました!

吉祥寺虎屋(弁天通り店)
住所 武蔵野市吉祥寺本町1-29-4
営業時間 10時~18時

イートインあり

定休日 水曜日
HP  https://www.kichijoji-toraya.com/  
吉祥寺虎屋(吉祥寺ダイヤ街アルファ店)
住所 武蔵野市吉祥寺本町1-2-7
営業時間 10時~19時
定休日 水曜日

2.変わらない製法で、変化する立川の魅力を伝えるお店「立川伊勢屋本店~立川市~」

和菓子屋さんは古くから地域と協力しあっていたり、みんなに必要とされているお店が多いんだな~って実感しますねぇ。

和菓子を販売しているってだけじゃない、大事な存在って感じがするね。
立川にも色々なイベントにも参加されて、駅前の大型百貨店さんにもお店を出している和菓子屋さんがあるんだよ。

立川もどんどん楽しい街になっているよね!
どんなお店なのかな?ぜひ行ってみましょう~!

立川伊勢屋本店」~立川駅~

JR中央線 立川駅から徒歩10分ほど

店内にはアニメの等身大パネルやグッズの販売コーナーもありました。

「立川伊勢屋本店」の二代目店主、小林さんがお話ししてくださいました。

こんにちは。
そちらは2010年に立川観光コンベンション協会(当時は立川観光協会)さんがスタートしたアニメ事業のものになります。自動販売機や等身大パネル、毎年新しいイラストでグッズも作っていただいているんですよ。

すごいっ!
人気のあるアニメ作品で10年以上町おこしを続けられていることが驚きです~!

事業をまとめてくださっている皆さん、アニメ制作会社(版権元)の皆さん、地域や店舗の皆さん、そしてファンの皆さん、みんなが協力してきたことで今でも続いていると感じます。

「立川伊勢屋」さんは歴史のあるお店かと思いますが…、こういったアニメコラボについては抵抗があったりしませんでしたか?

うちとしてはぜひ!と、声がかかったときはすぐに飛びつきました(笑)。
確かに古い和菓子屋にアニメ作品は奇抜に見えますし、常連のお客さんも戸惑うかな?という考えもあるかもしれませんが、その時はすぐに協力させていただくことを決め、結果的にお客様からそういった心配の声もなかったです。

わっ。今も普通にお客さんが入店されて商品を購入されていますね~(笑)。素敵な光景です。

こちらは他の作品で、市内にあるプラモデル会社のコトブキヤさんのキャラクターなんですよ。立川駅北口エリアで別のアニメイベントが開催された時に作っていただきました。

複数のアニメ作品とコラボしている和菓子屋さんってなんかすごすぎませんか!

色々とご一緒できているのは、立川の人たちは自分だけ勝とうとしないところがあると思います。
商店街でもそれが言えて、複数の商店街が分散していて、それぞれが頑張って立川を盛り上げてくれています。
こういった新しい企画のお話しがきても、当店だけでなく市内のお店みんなでやっているので、心配もなく安心して取り組めます。

店内には「立川伊勢屋」さんの活動や表彰の記録がずらりと並んでいました。

そして…、アニメ作品に隠れていますが、あそこにいるのは「立川市公認なりそこねキャラクター・ウドラ」ですね!

「ウドラ」のどら焼き…「ウドラ焼き」です。こちらは当店からお願いして制作させていただきました。
当店のどら焼きは立川市内にある伊藤養鶏場の新鮮な卵を100%使用しています。こちらはエサからこだわったとても美味しい卵で、風味がよくなりしっとりとしたどら焼きになるんです。

ウドラ焼き 281円(税込) ⒸUDOLLAND

食べるときちょっとウドラと目が合ってドキドキしたけど、ほんわか生地のどら焼きで美味しい~!

「ウドラ焼き」って名前も素敵で、立川土産にもピッタリですね。
どら焼きには使用されていないかと思いますが、実際にウドを使った和菓子もあるんでしょうか?

ウドラについてはコチラをチェック
HP  https://udolla.jp/  

立川産のウドを使った「うどパイ」がございます。時期によっては「うどまんじゅう」も提供しています。
立川産のウドは春が旬です採れる量も決まっていて、売り切れ次第終了となっています。

うどパイ 303円(税込)

※この日は特別に「うどパイ」を販売していただきました。

ウドがそのまま入っていますが、甘く煮てあって餡との相性がばっちりですね。トロッとしながらウドの繊維感も残っており食感も楽しめます。
こんなに美味しく和菓子になるとは驚きです。子供でも喜んで食べられますね!

立川にあった和菓子店の「やな瀬」さんがお店を閉めることになって、そこの人気商品が「うどパイ」だったんです。先代の頃から「やな瀬」さんとはお店同士で仲良くさせていただいていて、閉店されるときに「うどパイ」のレシピやロゴをそのまま引き継がせていただきました。

色々なところで立川らしい助け合いが形になっているんですね。
「立川伊勢屋」さんはいつ頃から立川でお店をされているのですか?

創業は1956年になります。
八王子市大横町にあった「伊勢屋」からのれん分けしてもらい「立川伊勢屋」となりました。
ですので、その「伊勢屋」と同様に「いなり寿司」や「のり巻」を開業時から提供しています。

いなり寿司 130円(税込) のり巻 65円(税込)

※お寿司類を注文するとガリを付けてもらうことができます。

新しいことにも挑戦しながら、製法については、昔から変わらない製法でお作りしています。
原材料はこだわりながら選定しています。
例えば団子の材料となる上新粉にしても色々種類があるんですが、高かったり新製品だから良いというわけではないので、いつも味を見て質のよいものを選ぶようにしています。

変わらない部分と変化する部分がしっかりされているので素敵っ!
「立川伊勢屋」さんは種類も豊富にありますが、どちらが人気商品になりますか?

通年人気があるのはやはり「みたらし」ですかね。
最近は食べ歩きができる「たい焼き」も人気があります。「たい焼き」は米粉を使って作っています。

みたらし団子 しょうゆ団子 各152円(税込)/ 磯部団子173円(税込) 

米粉たい焼き 216円(税込) ※たい焼きは冬季限定商品

お団子、落ち着く味ですね~!
昔ながらの製法が守られているからこそ、安心のお味なんですね。

たい焼きの生地がふかふかですね!
並んでいる様子もちょっと可愛いです(笑)。

「桜餅」「うぐいす餅」など、春の商品もございますね。
シンプルな茶饅頭から「伊勢屋本店」さんオリジナル商品もあって選ぶのが楽しいです。

「桜餅」の葉の塩漬けや、「草餅」のヨモギなんかも海外産のものもあるのですが、国産のものを使っています。塩漬けの業者さんが少なく日本で1社程度だと言われているんですよ。
この桜の葉が「かしわの葉」に変わってくると、季節の移り変わりを感じますね。「かしわ」はアロマのように良い香りがします。

すあま(左) 173円(税込)/ 豆大福(手前) 195円(税込)/うぐいす餅(右) 260円(税込)

五路 281円(税込)

「すあま」ってふわふわしていて可愛いのにあまり見かけないので嬉しい~!
甘さも優しくてとっても美味しいですね。

お饅頭も粒あんの味がしっかりして美味しいですね!

五路にはこしあんと蜜に漬けた栗が入っていますね!
生地が香ばしくて食感も楽しめます。

ありがとうございます。
「多摩最中」だけは丹波大納言のブランド小豆で決めております。

多摩最中 281円(税込)

「多摩最中」の他にも、「多摩の里」や「立川ばやし」など地域の愛情を感じますね。
どんどん発展のエリアが広がっている立川ですがずっとお店を続けていらして変化を感じることはありますか?

「立川伊勢屋」のある立川通りはもともとメインの通りだったのですが、大きな施設ができて少し人通りに変化があり通行量は減ったところもあります。
ただ立川は交通も良いので、イベントを開催したり、色々な施設があることで訪れる人は増えている印象です。

お話しを聞くと、地域活性化に欠かせない場所だなと感じました!

上生菓子やオリジナルの焼き菓子、定番のどら焼きなども。

いなり寿司を予約していく人、食べ歩きをする人、お土産を買っていく人、色々なシーンで利用されていましたね。
今日は貴重なお話しを聞かせていただきありがとうございました!

ウドラ焼き、また食べに来ます!

立川伊勢屋本店
住所 立川市高松町3-17-1
営業時間 9時~18時 
定休日 不定休・正月
Instagram  https://www.instagram.com/tachikawaiseya/  
ルミネ立川店(1階) 10時〜20時
伊勢丹立川店(B1階) 10時〜19時30分

※百貨店の定休日、営業時間に準じます。

※商品のお値段は取材時の価格になります。

★ご紹介したお店のおすすめメニューをプレゼント

【前編】でご紹介した「ならは」さんで使用できる商品チケット1000円分を4名様、「くにたち三芳野」さんで使用できる商品チケット1080円分を4名様、【後編】で紹介する「吉祥寺虎屋」さんで使用できる「小槌最中」交換チケットを2名様、「立川伊勢屋」さんで使用できる商品チケット1000円分を4名様に、中央線と暮らすアプリの1日1回運試しくじの景品としてプレゼントを予定しています。ぜひご応募ください。

【前編】和菓子編

【前編】では「ならは」さん、「くにたち三芳野」さんの和菓子と歴史、地域との関わりについてをご紹介します。