3.8

中央線と暮らす〇〇(まるまる)
中央線のコーヒー時間編(ザグリ珈琲)

2023.09.17
INTRODUCTION
魅力・不思議
お出かけやお話しの時に、仕事や気分転換の時に。いつでも生活に傍にある「コーヒー」。
コーヒーといっても豆も様々、淹れ方も様々。そしてお店の個性も様々です。コーヒーをちょっと知ることで、コーヒーがもっと好きになれるかも?お店をちょっと知ることで、わくわくする時間がもっと増えるかも?
中央線沿線にもたくさんのカフェがあるけど、いったいぜんたい「コーヒー」にはどんな魅力が隠されてるっていうの?

最上級の農園の豆でこだわりぬく唯一無二のフレーバーザグリ珈琲

阿佐ケ谷駅】ザグリ珈琲

次は阿佐ケ谷駅に来ました~。
阿佐ケ谷は南北ともに色々なお店がとっても多いんですよね。

阿佐ヶ谷神明宮という大きな神社さんもありますね。

美味しい情報量が多い街になりますね!

駅から少し歩いたこの辺りはジェラート屋さん、お花屋さんや古着屋さん、面白いお店があって楽しいエリアなんだよ。

おっ、ジェラート屋さんのお隣にコーヒー屋さんがありますね。
ザグリ珈琲さん、今日はこちらに行ってみましょう!

ザグリ珈琲さん、こんにちは~。
わっ!入って大きな焙煎機が。古書が並んでいたり、カメラや照明は近代的だったり、ちょっと不思議な空間ですね。コーヒーの説明のパネルもオシャレで文字がかわいいですね。

古書が並びラインティングがかっこいい店内
大型の焙煎機
デザイナーでもある大谷さんと、組紐作家でもあるひろ美さんがお話ししてくだいました。

こんにちは。
実は私がデザインの仕事もしているので、このフォントは自分で作ったものなんですよ。
そして店内の間接照明や内外装など、すべて自分たちでDIYしたものです。

え~!フォントもオリジナルはすごいですね。
そしてこの空間の照明も細かく作りこまれていて…。すごすぎます。コーヒーもこだわりが詰まってそうですね。

まずはおすすめのコーヒーを飲んでみてください。
ひとつ目はコロンビアのエルパライソです。

コーヒーを淹れてくださっている姿が職人さんのようでかっこいいです!

いただきます…。

わぁ~、美味しい!これまで飲んだことがない香りのコーヒーですね。色々な味、香りがします。

そうなんです、エルパライソは色々なフレーバーを楽しむことができるのが特徴です。
こちらの紹介パネルにも書いていますが、バラやキンモクセイ、マンゴーやピーチ、柑橘系とバニラなどの甘い香りと、まず他にないコーヒーだと思います。

店内の紹介パネルなどもすべてオリジナルのフォント

複雑なようで、飲んでみるとすっと香りが伝わってきます。書いてある説明も納得のフレーバーですね。

次はこちらはエチオピアのタミルタデッセ農園のアンダースクリーンをどうぞ。

こちらはフルーティな香りがしっかりして、これも飲んだことがないコーヒーです。 

コーヒー豆の精製方法でウォッシュトとナチュラルがあるのはご存じですか?
後で飲んでもらったタミルタデッセは天日干しナチュラルの精製方法です。標高が特に高い場所で、寒暖差が大きいためコーヒーの実が大きく育たなくて小粒の中に糖分が蓄積されます。ベリーが強いのはナチュラルで果肉のついたまま乾燥させているからです。

ウォッシュトとナチュラルは予習してきました!標高差も関係するんですね。

実はその2つの精製方法以外にチェリーの段階で発酵させるやり方があるんです。
最初に飲んでもらったエルパライソは嫌気性発酵の精製方法で、発酵させて水で洗います。
空気を遮断した無酸素の状態で発酵を行うのが嫌気性発酵の方法で、好気性の発酵は空気がある状態で行う発酵方法です。エルパライソは発酵系のコーヒーの中でも特に特徴的なコーヒーです。

そのような精製方法があるんですね。
複雑な香りで本当に初めて飲んだ味でした。

当店ではファーメンション(発酵)系の豆も各種そろえているのが特徴です。
自分がコーヒーが好きなんで、飲みたいものを主に仕入れています。今の時代は、最上級のコーヒーの豆、世界でも有数の農園のものが入手できるので良い時代です。

コーヒー愛とこだわり、とっても伝わってきます。
色々なコーヒーの説明もお客さんも勉強になりますね!もし可能でしたら、コーヒーの豆知識を教えていただけますでしょうか?(豆だけに)

コーヒーの語源を知っていますか?
珈琲はエチオピアが原産と言われています。その産地である「カッファ Kaffa」地方が語源であると言われています。
昭和32年に版画家の奥山儀八郎さんが書いた本の中に、江戸時代、コーヒーが伝わった時の「コーヒーの漢字」の一覧があります。

※熟字一覧

色々ある漢字の中で採用されたのが「珈琲」です。珈は「かみかざり」、琲は「つらぬく、ひも」。つまり当時の女性が髪に飾っていた玉かんざしに、コーヒーチェリーが似ていることから考案されたそうです。
これは津山藩医で蘭学者の宇田川榕菴が考案しました。19歳にしてコーヒーの本を出したり、化学用語やワインを葡萄酒、ビールを麦酒など、江戸期における主要な外来語を日本語で漢字に翻訳した人物です。

年号や歴史上の人物まで、すごい知識量です…。
由来も勉強になりましたが、珈琲の文字にも候補があったんですね。ありがとうございます。

江戸時代、当時のコーヒーはどういうものだったんでしょう?

当時は焙煎された豆が長崎の出島に入り、深煎りのコーヒーだったと思います。
とても苦かったためシーボルトが薬として広めたと言われています。
実際に庶民が飲み始めたのは1888年、上野で日本で最初の喫茶店「可否茶館(かひさかん)」がオープンし広まっていったそうですよ。
そういった意味で、コーヒーは苦いものとして日本では広まっていましたが、当店では質の高い豆を浅く煎って香りや酸味を楽しむようなものを扱っています。

確かに、どちらも香りを楽しめるコーヒーでした!こういった香りを自宅で楽しむのは難しいのでしょうか?

香りのよい豆なら日数をおかず、なるべく早く飲みましょう。あとは適切な豆量と挽き目、湯温、湯量であればOKです!
良質なコーヒー豆を仕入れて、生豆の管理を的確に行い、適切な焙煎をしていれば、そこからは美味しいものしかできないと思っています(笑)。

※厳選した珈琲豆たち

精製方法や飲み方、まだまだ知らないことが多くてびっくりしました。

私も実は今年くらいから、自分の狙い通りの味が焙煎できるようにやっとわかってきたんですよ。
ただ、一番重要なのは生豆であって、農家さんへの尊敬を大切にしています。コーヒーの焙煎をしながら毎回、毎朝フレーバーのチェックをして、その豆の良さがどんな人でもわかるような味わい、説明を心がけています。

説明のパネルは素敵にデザインされているので目でも楽しめますね。
コーヒーと相性が良いデザートはありますか?

熟成ケーキがございます。
7種の手作りのドライフルーツをラム酒に2ヶ月以上漬けこんで、パウンドケーキに入れています。
パウンドケーキを焼き上げたら梅酒を塗り、1週間後ラム酒、そして1週間後ラム酒、さらに1週間後ラム酒を塗って、そこから熟成させたものをお出しするようにしています。
シュトーレンはバターをしみ込ませて熟成させるのですが、これはお酒をしみ込ませて熟成させるケーキになります。

き、聞くだけでとっても手間がかかっていますね。ラムやドライフルーツはザグリ珈琲さんのコーヒーと相性が良さそうですね!1ついただけますか?

こちらの熟成ケーキはコクがあるコーヒーにも、フルーティ系のコーヒーにも相性が良いですね。

熟成ケーキはお持ち帰りもできるので、1本買いされる方もいるそうです。

すごい濃厚でとっても美味しいです~。
この熟成ケーキもコーヒーと同じように他で体験したことがないです!

今日は美味しいコーヒーとケーキだけでなく、色々な学びもいただきました。
ありがとうございます。
最後にお二人のお好きなコーヒー時間を教えていただいてもよろしいでしょうか?

毎朝のテイスティングですね。
夫婦ふたりで、品種を隠してブラインドチェックをしています。5種類くらいでこれは何の豆か?とやっているのですが、シンプルで味が似たものだとこれが難しいんです。最近は結構当たるようになってきて、この時間が好きですね。

ほっこりしますねぇ。本当に素敵な空間でした。ありがとうございました。

お二人はコーヒー以外にもこだわりが至るところにあって、お店の中にもそれを感じるところがたくさんありましたね。
コーヒーから始まるこだわりの時間ですね。どんなものも追及すると良いものが生まれるんだなと感じました。

店内の木箱の中にはひろ美さんの組紐の作品が展示されていました。
ザグリ珈琲
住所 東京都杉並区阿佐谷北1丁目43−6
営業日 11:00~18:00
定休日 火・水曜日

※訪問時の情報となります。以下よりご確認の上、ご来店ください。

新しいコーヒー時間を発見!

【前編】では武蔵小金井、東小金井、武蔵境駅で見つけた素敵なカフェを、【後編】では吉祥寺、西荻窪、阿佐ケ谷駅で見つけた素敵なカフェを紹介いたします。